パントマイム in Berlin
大受けだった。 その日はいつもの土曜マーケット。 よく晴れた日で、いつもとなにも変わらない雰囲気。 ただ、違うことは大道芸として行なっていた日本舞踊ではなく パントマイムを披露することに決めた。 これまた初めての試み。 どうしても初めてというのは緊張が付いてくる。服装はHPの動画と同じような 格好をしてドキドキしながらいつもの場所に向かう。 想像が付かない。反応が怖い。何をやったらいいかも良くわかっていない。 そんな状態の中、マーケットに着いてしまった。そう、マーケットから住んでいる場所 まで徒歩3分くらいの場所なのだ。 『ちかっ』 気持ちの整理もあまりついてないまま、いつものようにコインを入れるためのボウルを セットした。 パントマイム開始だ! 始めてすぐ、あることに気づいた。 大人はあまり反応しないが、子供達が足を止めていくではないか。 子供たちが見ていたら急にテンションがあがってくるのを感じる。もう緊張も何もない。 どうしたら子供たちを楽しませられるか。それに集中していた。 そして、子供たちを喜ばせるのにコインは必要ないと感じた私は、目の前に置いておいた ボウルをしまう。 するとどうだろうか。ボウルを置かないことで、自分が意識せずに境界を作っていた ラインが外れ、私の舞台が見ている人達と同じになった。 そう、すべてがより近くなった感じだ。 もう色々な境界はない。 どんどん足を止めて行く人が増え、こどもたちの笑い声までこだまするようになった。 座り出して見始めた姉妹、パンとタンポポをくれた眼鏡の少年、お花をくれる少年、 同じようにマネをする兄弟まで登場した。 中でも驚いたのはボウルを置かずして、コインを直接私に渡してくる人が多かったこと である。たしかに、このヨーロッパでは大道芸をしている人にコインを渡す習慣は あるかもしれないが、特にボウルを置いていなかったにも関わらず多くの人から コインを頂いたことにはびっくりだ。 沢山の子供達の笑顔が見られた。 これは私の心の宝物。 自分には何ができるんだろう、と自分に問いかけていた質問に、少し答えが見えて きたかもしれない。 今は何に繋がっているかわからなくても、必ず花を咲かせるときが来るということ。 ただ、今を大切に生...